超ポジティブブックマーク/ペイフォーワード
先日、書いた記事「http://d.hatena.ne.jp/T-norf/20080401/OpenNetworkParty:Title」にはブックマークは2つしか付かなかったのだけれど、うち1つは、id:jimmyhomma氏という方から、なんと100ポイントの「はてなポイント」の送信付きでのブックマークを頂いた。
このポイント送信を頂いた記事の内容には思い入れがあって、インターネットというのはメディアでもありコミュニケーションツールでもあるけど、究極の進化形は市民全員参加型の政治を実現するツールだと本気で思っていて、これは10年ぐらい前にもクローズなメーリングリスト*1でも同じようなことを書いた記憶があるのだけど、こんな零細ブログの記事でも深く共感してくれる人がいて、本当に泣きたくなるぐらい嬉しかった。
それで、ブックマークのidからjimmyhomma氏のブログを発見して、たどってみると下記のようなエントリーがあった。
http://d.hatena.ne.jp/jimmyhomma/20080331
はてなスターというのがあって、これを貼っていくのは、なかなか楽しいと思うのですが、1個貼ると、貼った方から貼られた方へお金(ポイント)が移動すると、より楽しいのではないでしょうか。梅田氏が昔、日本国民全員から1円もらえたらば、1億円の収入があって、云々という話があったと思うのですが、、
感動的だったり、すごく感謝したくなったり、したサイトや記事に対して、気軽に10円とか100円とか寄付出来たらば、感謝で回る新しい経済が生まれると思ってます。まじで。池田信夫氏に理論的裏づけして欲しいのですが、資本主義超えてないですかね?感謝主義。
っていうか、チップの延長かな。チップ協賛主義。
これってインターネットの黎明期から何度か話題になっているけど上手くいかない「投げ銭」の話で、どうしたら上手くいくのだろうかと考えてみた。
1.送り手と受け手が同じサービスを利用している必要性
投げ銭を送るには、送り手と受け手が同じサービスを利用している必要性がある。これは、アクティブなブロガー/ブログ読者の利用率が高い「はてなブックマーク」ベースでいいだろう。
と思ったら、既に実装されていた。てっきり「はてなダイアリー」のページをブクマするときだけ、「このエントリーの作者にポイントを送信する」というチェック欄が現れると思ってたのだが、Account Auto-Discoveryという仕組みが用意されていて、はてなダイアリー以外のブログサービスを利用している場合であっても、ブロガー側が下記で紹介されているRDFタグをブログへ埋め込めば「はてなブックマーク」からのポイント送信が可能になるようだ。
http://b.hatena.ne.jp/help/tipjar#autodiscovery
はてなダイアリーをご利用の方は特別な作業を必要とせずに、はてなポイントを受け取ることが可能です。それ以外のウェブサイトを運営の方でも以下の手順に従ってはてなのアカウント名をウェブサイトの HTML に埋め込むことで、ポイントを受け取ることができます。
はてなのアカウントをお持ちでない方は、はてなユーザー登録からユーザー登録を行ってください。
ご自身のサイトでポイントを受け取りたいエントリーの HTML あるいは XHTML に、以下のコード (Account Auto-Discovery ※)を用いてアカウント名を記入してください。
ちなみに、対応済みを表示するバナーも用意されていて、「投げ銭OK」というバナーだ。
ただ、このAccount Auto-Discovery、「はてなブックマーク」経由のポイント受信専用だと、ポイントを欲しがっているみたいで、ちょっと恥ずかしいかもしれない。Account Auto-Discoveryを普及させるためには、ポイント受信以外の用途を持たせるといいのだろうけど、開発担当の伊藤直也氏(id:naoya)によると現在開発中の「次期はてなブックマーク」には、
http://d.hatena.ne.jp/naoya/20080324/1206354054
エントリーページのコメント一覧を、被ブックマーク側、つまりブログの書き手からある程度コントロール可能にしたいと思っています。
という改良が追加される予定があるので、この新機能の実装の中でも、ブログの書き手を認証するためにAccount Auto-Discoveryの仕組みが要求され、「次期はてなブックマーク」リリースと共にポイント送信が可能となるブログも増える可能性があると思う。
2.「投げ銭」の元となる「銭」の問題
勉強不足もあったが、少なくとも「はてな界隈」には「投げ銭」用のインフラはある程度整っているわけで、続いては「投げ銭」を促進するための原資となる「銭」の問題だ。先の「はてなブックマーク」のポイント送信を考えた場合、「はてなポイント」を送るわけだが、これがどちらかといえば「供給不足通貨」でデフレのような状態に陥っているように思える。
「はてなポイント」を受け取れる場合は、以下の通り。
一方で、「はてなポイント」の使い道は、以下の通り。
- はてなの各サービスの有料オプション・有料コースの代金支払い。(一番多いのは「はてなダイアリーの有料オプション、月額180ポイント」)
- はてな人力検索での質問
- Amazonギフト券と交換・楽天スーパーポイントと交換(手数料がかかり、2000ポイント以上から)
- はてなポイント送信でポイント送信した場合
上記の通り、はてなは提供している各種有償サービスの代金を「はてなポイント」で回収しているので、はてなのコアユーザの手元ではポイントが減っていく一方で、「はてな人力検索に回答」を続けるユーザは一部しかいないので、余剰ポイントがある人は少ないように思える。
このデフレ状態を打開するためには、例えば「はてなダイアリー有料オプション」のクレジットカード年払い(若干割引あり*2)とかもありかもしれないが、「はてな人力検索」以外に「ユーザがポイントを稼ぐ」という手段があると良いのではないかと思う。
これは、はてなの方向性とは合わないかもしれないが、Google Adsenceのような広告をはてな自身がシステム化するか、広告代理店と提携して、ユーザのブログ(はてなダイアリーに限る必要なし)で掲示広告がクリックされるごとに「はてなポイント」が入るような仕組みがあれば、少なくともこのデフレ状態は解消すると思う。*3
個人的には、「ユーザがポイントを稼ぐ」という方向を含む形で、はてなが世界に羽ばたけるような新サービスが構築できると思っているのだが、これは将来なんとか機会をつかんで直接近藤社長(id:jkondo)にプレゼンしたいと思っているので、ここでは秘密にしておこうと思う。
3.超ポジティブブックマーク・「投げ銭」の文化・ペイフォーワード
最近、はてなブックマークに関して、ネガコメの問題とか、はてブの暗黒面がいろいろと話題になっている。
確かに、私も商用サイトとかで変な記事を見つけると辛辣なコメントを付けてしまうことがあるのだけど、ブログエントリーにネガコメがついても、賛否両論の話題であれば「ポイント送信付きの超ポジティブコメント」が1つだけでも付けば、ブログの著者はかなり癒されると思う。
また、問題があるエントリーにネガコメがついても、そうじゃないエントリーには超ポジティブブックマーク(ポイント付きのブクマ)がついて癒されるような場面があれば、「はてブなんて大嫌い」っていうように偏った意見も減るのではないかと思う。
ここで1つ提案。ブログオーナーがAccount Auto-Discoveryを登録していなくても、受取りは留保された形でポイントを送れるといいかもしれない。当然、登録して貰わないとポイントもメッセージも届かないのだけど、そこに善意のポイントがあるというだけで、場がなごむのではないだろうか。*4
あとは投げ銭の文化だ。これは根気良く続けていくしかないだろう。誰かからポイントを受け取ったら、その感激を誰かに伝える。貧乏な学生さんは、遠慮なくどんどん受け取るだけでいいし、まだまだ駆け出しの社会人さんは、受け取った分だけ送るような人がいれば、はてなの手数料ぶんだけ減衰するけど、善意を受ける人数は増えていく。
ここで2つ目の提案。自分が受け取った分のポイントを一定比率でとか、各自が定めた固定値のポイントを、ブクマと同時に1クリックで簡単に送信できるような仕組みがあると、小額でも善意を送ることができて、はてブの暗黒面を遥かに超えるようなメリットを作り出すことができるのではないだろうか。
あと、ちょっと余裕がある人は、善意を1つ受け取ると3つに増やして別の人に送るといいかもしれない。
シックスセンスの有名子役、ハーレイ・ジョエル・オスメントが主演していた映画に「ペイフォワード」というのがあるのだが、それのイメージだ。善意が善意を呼んで、どんどん増えていくというような現象は、継続するには結構精神力が必要でなかなか難しいかもしれないけど、可能性があるのならば、やらないよりやった方がいい。
というわけで、早速、私もjimmyhomma氏の善意を3倍に増やしてペイフォワードしてみようと思っている。
参考文献
投げ銭・はてブ関連ブログエントリー/トラックバック先
- http://d.hatena.ne.jp/jkondo/20050810/1123662359:Title
- http://chalow.net/2007-08-06-3.html:Title
- http://blog.livedoor.jp/kensuu/archives/50039633.html:Title
- http://blog.livedoor.jp/kensuu/archives/50112829.html:Title
- http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_6b1c.html:Title
- http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20071204/music:Title
- http://d.hatena.ne.jp/Lhankor_Mhy/20080412/1208006558:Title
- http://ekken.blog1.fc2.com/blog-entry-807.html:Title
- http://d.hatena.ne.jp/TatsuyaSuzuki/20080412/1207994065:Title
*1:多分インターネットウォッチのWatcher用のメーリングリストで、やっぱりエイプリルフールに関連して書いたような気がするが、正直記憶はあいまい
*2:大きな金額を決済した方がクレジットカード手数料の比率が下がるので割り引けると思う
*3:ただ、お金儲けが絡むとコミュニティーでトラブルが増えて荒れるという面があり、運用コストもかかるので、はてなの経営という観点からすると良く考える必要があるかもしれない
*4:死蔵されるポイントは、はてなのキャッシュフロー的にも有利でいいと思う。あと、悪意のあるコメントをしつつポイントを送るのだけでは、最大の侮辱としてアカウント停止ぐらいの罰則を作っておいた方がいいかもしれない。悪意があると誤解されるような場合でもイエローカードで2枚で退場とか