分裂勘違い君の法人売上税があり得ない3つのポイント

今までの分裂勘違い君劇場の記事の中で、一番レベルが低いと感じた下記記事を批判してみたいと思う。

企業と金持ち「だけ」から税金を取るようにしてみてはどうか - 分裂勘違い君劇場 by ふろむだ

1.法人売上税はいくつかの分野の企業にとって致死性の税制である

法人売上税は、利益率が薄い全ての産業に対して致死的な影響を与える。例えば、卸売業であったり、商社であったり流通業に「死ね」と言っているに等しい。

例えば、原料生産/製造/流通/販売の全てをこなせる企業は、消費者の購入価額×1.0の売上しか発生しないが、途中で卸売業者が入ったり、商社が入ったり、小売業者が入ると各社の売上金額を合計すると、全体では消費者の購入価額×2.0以上の金額が発生する。そんな「売上金額」に課税するという話しが出れば、各社が垂直統合すると税制上有利になる一方で、流通や卸売に特化した各社の生産性は失われる。つまり、導入するとGDPが劇的に損なわれかねないという税制ということになる。

それでは各社の付加価値に応じて課税するといいという発想もあるが、要するにそれは付加価値税であり、国内ではそれを「消費税」という呼び名で呼ぶ。分裂勘違い君は「消費税」を廃止すると言っているので、どう考えても多くの会社に「死ね」と言っているとしか考えようがない。これは現実的な政策としてあり得ないと考えられる。

2.法人売上税は新規起業を潰す税制である

法人売上税は、収益が上がっていない企業に対しても課税するという税制であるから、創業当初は赤字であることが多い新規起業を阻害する税制である。ただでさえ新規起業が少なく、イノベーションが不足しているという現状の日本経済にとって、起業という面では不利に働くことは間違いない。この面からも実施してはいけない政策であり、あり得ないと考えられる。

3.法人売上税は利益率至上に走る、貧乏人を淘汰する税制である

法人売上税が導入されたとすると、経営サイドから考えると、薄利多売は税金を考えると赤字になるので、絶対に取れない手段となってくる。そのため高い利益率の業種が有利となるバイアスがかかり、ディスカウントストア、廉価販売のスーパーや、価格Com出展企業などが淘汰され、ブランド販売店や百貨店などの高級店が幅を利かせてくる。

貧乏人を相手とする商売が淘汰されるので、格差は拡大し、金持ちは今までより安く商品を買える一方で、貧乏人は今までより高く商品を買わなければいけなくなって、特に「従来の所得税非課税レベルの生活困窮者」は、より一層貧困に喘ぐことになる。この点でも、あり得ない政策だと考えられる。

結論

高い収益を出している企業に「ワークシェア」を強制し、達成できなければ法人税率を上げるような政策を実施する方が好ましいと思う。具体的には、一定以上の残業がある場合は、臨時雇用で構わないので新規雇用を実施することを義務付けて、達成できない場合は法人税率を上げるような政策が良いと思う。

(お給料をしっかり貰っている正社員の余暇が増えて、消費が向上する効果も狙える)

一方で、創業10年を経過しても収益を上げることができない企業は、売上高&従業員数に応じて、ほんの若干ながら外形課税を実施して、廃業or納税強化させるようなバイアスをかければいいと思う。

ただ、法人売上税は明らかにあり得ないので、論外。

以上!