【転載】資本政策分析:株式会社はてな

短期間で人気を博した「元ファンドマネージャーシリコンバレー日記」を運営されていたid:boltmanさんが、「会社の守秘義務関連の契約でブログがNG」のため、同日記を閉じられるとのことです。

boltmanさんのご好意により、下記の人気記事を退避する形で転載することをご了承頂きましたので、以下掲載します。


http://d.hatena.ne.jp/boltman/20080311/1205205901:Titlehttp://d.hatena.ne.jp/boltman/20080311/1205205901:Bookmark*1

とりあえずせっかくはてな村民になったのではてなの資本政策分析でもやってみる。

これからシリーズ3〜4回ではてなの分析をやってみます。



はじめにやったことは

・東京の本店の履歴事項証明を取得

・京都の元本店の閉鎖事項証明の取得

・2007年度の官報の公告の調査(登記で公告は官報になってるので)

とりあえず上記をもとにわかった事実を今日は紹介。



まずは資本の移動を時系列順にまとめてみるよ

(創設時*2)資本金1000万、1株10000円1000株で設立

(16.10.13)資本金を2000万に増資。おそらく株価は10000-20000円

このレンジで増資できるということはおそらくこの時点ではまだ累損が残っているくらいかな?

(17.2.10)資本金はそのままで株数が10000株に。おそらく5分割。

(17.2.25)資本金が2250万円に、株数が11250に増加。株価は2000-4000円

(17.4.1)資本金が2750万円に、株数が11750に増加。資本金増加が500万で500株発行なので株価は10000-20000円

(18.1.30)資本金が5500万円に、株数が23500株。おそらく1株2万円で利益剰余金とかからの組み入れによる株式の無償増資(1→2)。つまりこの段階で剰余金が3000万近くあった可能性。

(19.58.10)資本金が5600万円に、株数が23550に。資本金増加が100万で50株発行なので株価は20000-40000で時価総額は4.7億-9.4億くらい



通常は増資は資本準備金をめいっぱい使うだろうし*3今のはてな時価総額は10億弱とみて間違いない。

このレンジでid:jkondo保有株は少なく見積もっても7割はあるだろうし保有資産は7億強か。ベンチャーって儲かるね。。。

おれもニートやめてベンチャーでもやっかー。



次にストックオプションに関してまとめてみるよ

(17.3.3)第1回A号 行使価格2000円 992株

(17.4.8)第1回B号 行使価格10000円 240株

(18.3.10)第1回C号 行使価格20000円 182株(218株は消滅)

ここの減りっぷりがハンパないので初期からいて辞めた人たちのストックオプションがこれみたいですね。正直同時期に総会決議したA,Bと比べて全然おいしくないストックオプションな気が。。。

ちなみに余談だけどとある企業のコンサルやってるときにこのA号B号って書き方を法務局で好ましくないって注意されたんだよね。まあ磯崎先生がついてるし問題ないんだろうけど法務局の人にはあんまりいい顔はされないことが多いのでストックオプションを発行する人はちゃんと第1回第2回ってわけるほうがいいみたい。

(19.8.10)第2回  行使価格40000円 196個(12個消滅) 税制適格ストックオプション*4

社員向けのストックオプション。19.10.8に12個消滅してるのでおそらくこのストックオプション保有していたのは10.5付けで退職したid:kambara、もしくは19.10.20付け退職のid:higeponとの両名分か(従業員に限るとの割り当て契約書に基づくもの)

(19.8.10)第3回  行使価格40000円 255個

非税制適格なのでおそらくid:jkondoへのストックオプション(1/3以上の大口株主)*5かな?



最後に会計関係に関してまとめてみるのさ

決算の情報がほしくて官報の2007年度のデータを検索してみたんだけど残念ながら該当する情報は1件も見つからず。

登記には公告は官報による旨が記載されてるので公告を行う義務があるはずなんだけど。。。

なので官報の検索システムがダメダメか、はてな会社法440条で定められている決算公告を怠っている可能性あり*6(もしくは旧有限会社の公告いらないよって規定を使ってるのかな)*7
そのあたりid:kossyとかid:reikonに聞いてみたいな。

まあ単純にはてなポイント引当金*8とかそのあたりの財務面がどうなってるかユーザーとして気になるってのもあるんですが。

ビックカメラとかあのへんもポイントの引当金処理でゴタゴタ*9してたこともありましたからすごく気になります。





とりあえず今日はこの辺で。

明日はキャピタリスト的観点で記事を書いてみようかと

資本政策分析:株式会社はてな その2

*1:おそらく記事本体へはリンク切れになると思いますが、元エントリーのブクマページを参照をされたい方はブクマ数アイコンからどうぞ。あと、はてな記法で注釈を再現した関係で転載の枠からはみ出ていますが、各注釈は、もちろんboltmanさんによるものです

*2:正確には株式会社への移行時ですね

*3:増資の金額の50%は資本金に組み入れをしなくてよい。ex.100万出資したら50万を資本金を、50万を資本準備金に組み入れってのができる。

*4:税制上の優遇がある従業員向けのストックオプション

*5:1/3以上株を保有する人とその2親等以内の人間は税制適格対象外

*6:これは科料と言って一応罰金刑にあたるけど実質有名無実化してる。でもはてなポイントみたいな通貨システムを提供するサービス事業者はこういうのをディスクローズする義務は果たすべきなんじゃないだろうか、と個人的には思うけど

*7:はてなは使えないみたいです。id:ceekzさんより

*8:例えばどこかの石油王がトチくるってユーザーからはてなポイントを買い集めて全額amazonへのギフトカード交換とか要求したら急には払えないのでそのために積立金を取っておく必要がある。もし払えなければ企業としての与信問題なので結構大事。

*9:たしか100億円分くらいポイントがあるらしく全部交換要求がきたらその年の決算は悲惨なことになるので株主に突っ込まれるとかいう話だったと思う