逆境に打ち勝つための9つ作戦
逆境は急に訪れることがあるし、じわじわと迫りくることもある。
私は今は起業には遠いところにいるけれど、もしも本当に起業して社長になったら、孤独という面もあり、逆境が訪れたときには精神的に相当キツイだろうということは想像している。
まあ、今のサラリーマンとしての境遇もたいがいキツイく、逆にいい経験をさせて貰っているとも言えるのだけど、そういった体験も踏まえつつ、逆境に打ち勝つための作戦を整理してみた。
基本的には将来の自分に向けた文書でもあるけど、仕事がキツイ環境でうつ病になりそうという場合の処方箋としてもある程度使えるのではないかと思う。
1.迷ったら寝る
締切りが迫っていて、本当に寝ずに頑張らないといけない場面では迷わずにやるしかない。でも「迷う」ということは、普通はどちらの選択肢も魅力的なのだ。
長期的に見れば、睡眠時間を過度に削って頑張ったからといって、逆境からは脱出できず、逆に集中できずに効率も落ち、判断に誤りも増えて、悪循環にはまる危険性が大きい。
迷ったら寝る。これが一番重要。
2.ネットをやめる
時間、精神力は逆境突破のために集中する。息抜きのためにネットなんていうのは、論外。気づいたら、とんでもない時間を奪われていたりする。ネット復活は逆境を出してから。*1
3.100%を望まず、有期で考える
学校の試験は満点を目指さなかった人でも、実務になると満点を目指す人が多いように思う。そもそも、逆境下で100%の仕事なんかできっこない。60%でもいいじゃないか。逆境から抜け出してからでも挽回できることであれば特にそうだ。
品質を高めるのは素晴らしいことだけど、そのために思い悩んで期日を守れなかったり、体や精神を病むようだと本末転倒だ。
さらに、完成したら終わりという、終了日未定のプロジェクトではなく、x月x日までに最善を仕上げるという有期プロジェクトで考えることも重要だと思う。そして、100%の完成度を望むのではなく、その期間中にできる最善をつくすというスタイルで取り組む方が良い。
その方が、スケジュールも組みやすいし、精神的な負担も小さい。とにかくx月x日がくれば、逆境の一部分だけでも終わるようにして、一旦スッキリして休むのがいい。
4.良い条件を思い出す
逆境というぐらいだから、相当に厳しい条件を背負った戦いだ。そして、厳しい条件にばっかり意識が行くと、精神的にもネガティブになり、マイナス面が大きい。
あなたは重度の身体障害者だろうか。飢えに苦しんでいるのだろうか。住居もなくし借金取りに追われているのだろうか。そこまで悪い条件ではなく、ほかにも仲間がいたり、経験があったり、良い条件はたくさんないだろうか。
悪い条件というのは、対策に悩まさせられるため、どうしても頭に残る。そして、すでに確保している良い条件を忘れてしまい、不利を過大に感じてしまい、過度に精神力を奪われる。
精神衛生的に好ましいポジティブシンキングは、良い条件を紙に書き出すことから始められると思う。プロジェクトに確保できている仲間、自分自身の過去の経験や実績、再利用できるノウハウ、フルパワーを出したときの自分自身の力。
それでも、期日までに、最低限の完成度が望めないだろうか。
5.最悪の事態をしっかり考える
仮に逆境に負けてしまったとして、どうなるだろう。会社倒産? そして連帯保証をしていて個人破産とか莫大な負債をかかえることになるだろうか。
でも、そこまでは行かない逆境も多いのではないだろうか。そして最悪のケースでも命まで取られることはないし、犯罪に手を出していなければ、再起のチャンスもあるはずだ。
漠然と悩むより、最悪の事態をしっかり考えて認識して、そこから回避策を考えて、随時見返せるようメモを残した方が良い。漠然と悩むのが一番精神的に消耗すると思う。
6.人と話す
人間は社会的な生き物であって、進化の過程で、孤独では快適に生きられないように遺伝的にプログラムされていると思う。
一方で、最近は仕事でもメールが普及して、まあ社長とか管理職とか呼ばれるような人は1日平均で何十通ものメールを受け取り、毎日10通以上のメールを書くことも多いのではないだろうか。そして、逆境ともなれば、鬼のような形相で必死に仕事をして、周囲の人間に「近寄るなオーラ」を発していないだろうか。
顧客でも、部下でも、家族でもいい。できれば昔なじみの友人なんか最高だ。Face to Faceが一番だけど、電話でもいい。そんなに長時間ではなくてもいいので、しっかりと人と話をすれば、精神的にはずいぶんと落ち着くと思う。
もちろん、仕事仲間と毎日しっかり話をしてコミュニケーションロスも防げれば、一石二鳥だ。
7.悩まずやる。一歩でも前へ。
仕事ができる人は、しっかり優先順位をつけて、適切な順番で仕事を処理していく。もちろん、型にはまったシステム開発のような仕事だとガントチャートを書いて、プロジェクト管理をして、問題があると影響が大きいラインを優先的に手がけるべきだろう。
どのような場面でもそれができれば理想だけど、そもそも逆境というのは、何をどうすれば脱出できるか確固たる正解も分からず、やらなければいけないことが山積しているよう状況も多いと思う。
そうなってくると、「明らかに緊急のこと」「当面やらない」ということだけ決めて、まずは緊急だけ処理したら、あとは片っ端から手をつけていくのが良いと思う。
適切な優先順位を考えるというのは、山のようにある問題と対面することになるので、結局は悩みに落ちてしまいイタズラに精神力を損耗するモードに入る可能性が高い。一方で、1つでも仕事が片付けば、精神的には楽になる。
できるだけ悩まずやる。一歩づつ前へ。
8.体調維持
常に判断力が必要とされるようなホワイトカラー労働にとって精神力が重要だ。そして、精神力はやはり体力が続いてこそ維持できる。
冒頭の睡眠とも関連するが、長期戦の逆境下での体調維持として「風呂・運動・日光吸収」は時間対効果が明確で、お勧めできると思う。いずれも血行が良くなり疲労も取れるし、睡眠の質も上がるので、なんとか継続できると良い思う。
運動する時間がないという問題もあるだろうけど、中距離走で6分目一杯走れば、ちょっと鍛えれば1500mが1本走れる。もちろん急にやろうとしてもケガをするし、ストレッチとか着替えとか考えると1500m走は6分という時間ではできないが、全力で腕立て&スクワット*2などをして、1日1回短時間でも心拍数を最大化すれば体調面では劇的に良くなる。
個人的経験では、夜はグッスリ眠れるし、体力もつくので行動もきびきびするし、精神面でも間違いなく安定度は増す。
他にも食事をがっつり取ることも、精神的に回復したり、睡眠の質を上げる効果があると思う。ちなみに、精神を安定させる脳内ホルモンのセロトニン*3と、睡眠ホルモンとも言われるメラトニンは、共に日光にあたると分泌が促進され、トリプトファンというアミノ酸から体内合成されるので、タンパク質の多い食事をして日光にあたることが、精神安定や睡眠に良いというのは、ある程度は科学的根拠がある。
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」は誤訳だとかナチスの宣伝という話もあるけれども、すごく低いレベルでは成立する格言だと思う。まあ、「不摂生は精神不安定の始まり」ぐらいに変換しといた方が良いかもしれないけど。
9.I have a Dream
今の私の場合は、いつかは起業するという夢がある。
前にも似たようなことを書いたけど、今訪れる逆境を乗り越えれば自分が成長して、将来自分が起業した際の糧になるという考えを持っていて、これは精神的には大きいと思う。
起業後も、倒産もせずに生き残れれば、経験値(知)も増えて実力もアップするという考え方もあるだろう。
そして、自分の信念を達成するために起業であれば、その信念を拠りどころとした精神力で戦える。この信念という部分は、逆境を乗り越えて、起業を成功させるという意味では相当に大きいと思う。
(ただ、企業の場合は、資金計画とか他にもいろいろ生残るためには大事なことはあるけど)
余談
ここのところ逆境が続いているので、前回のエントリーから、デール・カーネギーの「道は開ける」という「悩み」がテーマの古典とも言える本を思い出して再読し、結構似たようなことを考えているなぁと考えつつ、自己流にまとめたのが本エントリー。
だから「1.迷ったら寝る」とか、一部に普段の私のスタイルをベースで書いたものもあるので、まあ、そんな感じで寝てたら仕事が進まないという場合とかは適当に調整した方が良いかもしれない。
あと、もしも精神的にキツイ状態で「道は開ける」を読まれる場合は、「宗教」に関するページは読み飛ばした方が良いと思う。無信仰の私の場合、どちらかと言うと、余計に悩みが増えた感じがしたので。
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このエントリーを参考にして本当に「うつ病」が予防できるかどうかは専門家じゃないので分からないけど、起業家だけでなく、いろいろな人が逆境を抜け出す手助けになれば幸いだ。
ちなみに、id:favre21さんの「モチベーションは楽しさ創造から」に「逆境に陥った時に、思い出すべき8つの言葉」という似たようなタイトルのエントリーがあったが、あちらは上品な感じでまた違った内容なので、比較してみると面白いかもしれない。
さて、有言実行。次の有期計画でも練ってみようか。