渡邉美樹氏を落選させたい人へのオススメの投票方法

いよいよネット選挙が解禁だ。といっても、まだネット上で目立った動きは少なくて、ちょっと寂しい。

そういった中、ブラック企業大賞2012で市民賞を獲得しているいるワタミの元会長の渡邉美樹氏が、今回の参議院選挙に立候補していて、その界隈の話題では、いろいろ盛り上がってる。

私は、日本の景気回復や、日本国民の幸福を最大化するためには「労働時間制限の厳格化」が望ましいと考えているので、この渡邉美樹氏には、ぜひとも落選して欲しい。

なぜ「労働時間制限の厳格化」が望ましいかは後述するとして、渡邉美樹氏を落選させるためにはどのように投票をするべきだろう。不信任票を投じる手段がなく、渡邉美樹氏は「全国比例区」に立候補しているのため、直接の対立候補に投票することも難しい。

今回選挙、自民党にかなりの追い風が吹いていることを考えると、みすみす渡邉美樹氏が当選するのを見ているしかないようにも思えるが、何か対抗策がないか考えてみた。

おそらく似たような結論に達した人も多いだろうけど、足並みを揃えた方がいいだろうし、せっかくネット選挙も解禁されたことなので、超久々にエントリーを起こして、説明してみたいと思う。

結論

・渡邉美樹氏を落選させたい人は、比例区に「伊藤 ようすけ」と書いて投票する。

ただし、自民党に票が入るのは嫌だという人は、自分の投票したい政党名や比例区候補名を記載する。


参考までに、伊藤ようすけ氏(49)は「東京プリン」の中の人。自民比例区泡沫候補で、党内では「君は、(ネット選挙の)お試しだな」とも言われたとか。詳細については、下のリンク先などを参考にすると良いと思うが、「(エンターテイメントで)日本を宣伝する」が政治スローガンなので、ネットやヲタ系にも理解があるのではないかと思う。
オフィシャルサイトDIAMOND Onlie記事アドタイ(広報会議 編集部)記事

理由

まず、参議院比例区の仕組みを簡単に説明する。ひとことで言うと「全国区の非拘束名簿制で48議席を争う」のだが、これだけでピンとくる人は少ないと思う。

全国区なので日本中を単一の選挙区とし、比例区なので各政党が候補者名簿として複数の候補者を立てて投票を行う。そして、投票は「政党名」もしくは「候補者名」を記載して投票を行う。

当選者決定は、まず「政党の総得票数(=政党票+候補者票)」をドント式*1で1議席あたりの得票数が近似するように、各政党の獲得議席数を決める。

そして、各政党の候補者名簿の中での当選者は、「候補者票の多い順」に当選者を決める。比例区というと政党名で争うというイメージが強いかもしれないけど、「非拘束名簿制」なので「候補者票」も重要になるのが参議院比例区の特徴だ。

具体的な例として前回参院選挙の自民党の得票と当選者を見てみよう。






第22回参議院議員通常選挙 速報結果の「党派別名簿登載者別得票数、当選人数(比例代表)」より抜粋

自民党は1407万票を獲得しているが、うち政党票が1066万票、候補者票は341万票となっている。自民党の全有効投票からの得票率は24%。当選者数は12名で比例区枠48名の25%で、ほぼ得票率と同じ比率の議席を獲得している。

そして、自民党内で12名の当選者は、党が決めた名簿順位ではなく「候補者票」の獲得数が多い順で決まる。この選挙では「候補者票」としては108,258票がボーダーラインになっている。

投票者の立場からすると、「政党名」で投票をすると「党の獲得議席を決める選挙」だけに参加し、「候補者名」で投票すると「党の獲得議席を決める選挙」と「党名簿内で誰を当選させるかの選挙」の両方に参加していることになる感じだ。

ちょっと説明が長くなったが、これをふまえて、渡邉美樹氏を落選させる投票行動として「伊藤 ようすけ」氏への投票を推す理由は、以下の3点となる。

1)「党の獲得議席を決める選挙」として自民党に票が入ることで渡邉美樹氏に利する面は 1票/117万票*2程度あるが、自民党の「党名簿内で誰を当選させるかの選挙」において渡邉美樹氏に害する面は 1票/18万票*3程度ある。このことから、他党に投票するよりは、自民党の他候補者へ「候補者名」で投票する方が、明らかに渡邉美樹氏を落選させる効果がある。

2)「候補者名」で自民党候補に投票するとして、もともと渡邉美樹氏より上位になる可能性がある候補ではなく、新たな投票行動により渡邉美樹氏を逆転する可能性があるような、不人気候補を当選させることが重要である。

3)当落には直接関係ないが、不人気候補にもしも票を集めることができれば、その獲得票が実質は渡邉美樹氏への不信任票であると自民党に認識される可能性が高く、仮に渡邉美樹氏が当選したとしても、将来の政治活動を制約する効果も出てくると考えられる。

理由は以上だ。「伊藤 ようすけ」氏への投票数が、渡邉美樹氏の得票数以上に確保できそうな場合は、「佐竹 まさあき」氏(元K-1ファイター)など、自民党比例区候補の中でも強い支持基盤を持たない候補者へも分散して投票するのもいいと思う。なぜに「伊藤 ようすけ」氏という根拠は薄いのだけど、不人気度と、ネットへのコミット度で決めた次第だ。

他の方策

残念ながら、私は直接の証拠を持っていないが、ワタミ・渡邉美樹ペディアというサイトでもいくつか紹介されているように、ワタミ・渡邉美樹氏からの郵送物が公職選挙法違反で、ここでもブラック(違法)であるという指摘がある。

公職選挙法違反が認定されれば当選無効もありえる。強い意思と時間があり、証拠提出ができる方は、選挙管理委員会・警察への告発をする手もあると思う。

東京都選挙管理委員会 問い合わせ
警視庁(おそらく代表電話にかけるしかない)

ちなみに、自由民主党は、ワタミ株式会社取締役会長・渡邉美樹氏の参議院比例代表公認を撤回してください!という署名募集があるが、公職選挙法138条の2*4で選挙活動として「選挙に関しての署名運動」は禁止されているので、こちらは念のため中止した方がいいのではないかと思う。

あとがき

5年前のエイプリルフールネタに、日本の政治を変えるオープンネットワーク党に期待!というエントリーを書いていて、まあ、私は誰かが政治をHackして、インターネットが政治を変えるツールとして活用されていく世界を夢みている。

だから今回のこのエントリーを書くにあたっても、法改正のポイントは確認していて、51%ぐらいはネタだけど、49%ぐらいは本気だ。

今回のネット選挙では、チェーンメールは禁止されているけど、リツイートはOKだ。だから私じゃなくてもっと影響力がある人が候補者本人ともタイアップして、インパクトのある写真や記事とともに投票やリツイートを呼びかけて、多くのネット民が賛同して投票すれば、当選者の1人や2人は楽勝で送り込めると思う。

いちおう、この文書も転載フリーにするので、適当に拡散して頂けると嬉しいけど、こんな怪しい名前の(しかも年に1回も更新してないw)ブログではなくて、もうちょっと知名度あるところで、似たようなアプローチで取り上げて頂けると嬉しいと思っている。

ただし、未成年の方の選挙活動は違法になるので拡散禁止にて。あとメールでの拡散や印刷配布も違法になる。Blog、Twitter、FBはOKだが、Blogの場合は法令で連絡先(メールかTwitter ID等)の記載が必要になるので、こちらもご注意を。私の連絡先は以下の通りです。

TwitterID: @T_norf

また、私は「伊藤 ようすけ」さんや自民党とは何の縁もゆかりもないなかで、勝手に投票推奨していますが、もしも関係者側で問題との認識がありましたら取り下げますので、お知らせ下さい。

おまけ:労働時間制限の厳格化を望む理由

私が、労働時間制限の厳格化を望むのは、これが唯一といっていいぐらい、特別大きな予算をかけずとも実現できる、経済対策・少子化対策であると考えているからだ。

もちろん、ブラック企業や零細企業が倒産することで一時的に失業者が増えることや、生産性を下げたり人件費が増えることで企業収益を圧迫するという負の面があるのは理解している。私は起業を夢見る人種でもあるので、特にスタートアップ期に、労働時間や残業代支払いが大きな経営課題になる点も理解しているつもりだ。

しかしながら、それを補って余りある利点があると考えている。その理由は、綺麗には整理できていないけど、だいたいこんな感じだろう。

ワークシェア効果による失業率の低下。労働者需給の逼迫による賃金の改善。残業代支払厳格化や、例えばもう一歩踏み込んで未消化「有給」の対価支払い化を実現し賃金の改善。この経路からの「消費拡大」

・余暇増からの「出会い増」、男性子育て参加増からの「出生数増加」ならびにレジャー支出拡大からの「消費拡大」

・失業率の低下・収入増加・出生数増加・余暇の増加(ワークライフバランスの改善)からの「日本国民の幸福の増加」

この長時間労働の抑制、私自身ハードワーカー集団のマネージャーなんで、おまえが言うなとか、おまえがまずやれと言われそうだが、ビジネスの世界は競争だ。競争相手が労働ダンピングやハードワークで対応してきたら、こちらも精一杯知恵を絞っても対処できないところは、ハードワークで対抗するしかない。

これはもちろん管理職以外の残業代はキッチリ払うという一線を守っての話だけれども、残業代をキッチリ払っても、ハードワークを選択した方が明らかに経営上有利になる点が多い。

ハードワークの利点は、まず新人の早期戦力化が実現し、経験値が溜まりやすいので個々のスキルが高くなり有能なチームができる。また、属人ノウハウ効率活用から「時間当たり生産性」を向上させる効果もある。これは1人で多くのことをやれれば打合せ回数も減り、コミュニケーションロスも少なくなるという点が大きい。

さらに繁忙期と閑散期の人材リソース調整がしやすく、余剰人材コストからの収益悪化も防げる。まあ、業種やビジネス環境に左右される面もあるが、業績向上へのプレッシャーを受けている経営者・マネージャーなら、一定レベルのハードワークを選択するのが圧倒的に有利なケースは多いといっていいだろう。*5

つまりは、自分たちだけで労働時間削減をやっても、かなり強いビジネスモデル(競争力)をもっていないと、ビジネスで負けて消え行く運命になるだけだから、この労働時間問題については、ぜひ法規制強化や適用強化で対処して欲しいと考えている。

その背景から、渡邉美樹氏が参院選に当選しそうという現状は本当に悪夢だ。違法サービス残業や、低報酬管理職の無償残業で、底辺への競争をやってる経営者なんて、ほんとサイテーだ。なんとか一矢報いたいので、ご賛同頂ける方は、ぜひ「伊藤 ようすけ」さんへ一票を。

*1:ドント式は、1議席あたりの得票数が近似するよう当選者を割り当てる方式。仕組みはややこしいので、詳しくはググって下さいませ

*2:117万票は「党の獲得議席を決める選挙」で見た場合の1議席あたりの得票数。投票率が前回参院選と同程度と仮定しての概算

*3:18万票は、前回参議院選自民党での比例区当選者の平均得票数。自民党の獲得する「政党票」と「候補者票」の比率も同じになると仮定しての概算。ここで平均得票数を使うのは必ずしも適切ではないが、話がややこしくなるので便宜上採用

*4:公職選挙法138条の2「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動をすることができない。」

*5:もちろん、一線を越えて心身を壊したり、退職者が出るような事態になると大きなマイナスなので、そこらへんは限界をわきまえ、メリハリつけたり、給与ボーナスも精一杯上げるよう大ボスと交渉したり、「経験値や成長」という報酬もMAXにしつつモチベーション上げてなんとか回していくのが、私のスタイルかな。いや、本当は、なにかすごい収益エンジン作って、稼動の対価を貰うビジネスから抜け出したいんですけどねぇ