起業志望の増田氏にマジツッコミ

はてな匿名ダイアリーに起業志望の人の「会社の経営って難しいんだね・・・ 」っていうエントリーがあった。

http://anond.hatelabo.jp/20080330214019

NEとSEとPGとか、そういった分類をしている時点で、ちょっと危険な気もするけど、お互い信頼できて、実力がしっかりしていれば、仲間が3人いるのは良いことだろう。

ただ、このエントリー、何かのネタかと思うぐらい、100%ツッコミ所だけでできている。逆に面白いので普通に釣られてみようと思う。


「資本金は俺ともう一人で200万ずつだしあって、400万円を考えてたんだよ。」(月給38万円×3人×4ヶ月=496万という計算*1で)「はい、赤字。」

→こういう状態になるのを赤字じゃなくて債務超過って言うんだけど...。4ヶ月間も無収入っていう想定そのものが厳しい。週末でも、睡眠時間削ってでも、最初の仕事のアタリを付けてから起業しなきゃいけない。(ちなみに黒字っていうのは400万が増えるってことであって、400万が減ってる時点で赤字だ)

→収益ゼロなのに、月給大杉。起業っていうのは成功すれば儲かるかもしれないけど、最初は苦しいに決まってる。他人を雇うならいざしらず、経営者は儲かるまで我慢。*2

→資本金400万円で収益力がない/弱いんだったら、1名だけが専業で、残り2名は兼業で始めて、最初は毎週水曜夜+土曜日とかだけ全員で仕事しつつ、仕事が増えれば2人目3人目が合流すればいいと思う。下請け中心のシステム屋ならば仕事さえコンスタントに入ってくれば、資本金は400万でもいける。*3

「もっと驚いたのはボーナス高えってこと。」

→ 役員賞与は原則としては損金(経費)にならないので、全部月給にしよう。(ただ、事前届出賞与という仕組みはあるらしい。参考:http://houjinzei.okumurayoshifumi.net/gaiyou/308.html

あと、ボーナスは前の半年間に賞与引当として積立てた分が、夏とか冬に支給される仕組みが普通だ。設立したばっかりの会社じゃなくても、転職した先でも、最初のボーナスは出ない。

「事務所代とか、交際費とか、交通費とか、通信費とかその他もろもろすげーお金掛かるんだよね。」

→事務所家賃もボロいマンションの一室にしたら、たかがしれている。誰かの自宅でもOKだ。システム屋ならば、コンスタントに人件費分を稼げれば、黒字化はすぐそこだと思う。

「んでそれを回避するために営業雇う?とか」「経理とかも専門がいないので経理雇う?とか・・・」

→最初から経理を雇うのは論外で。経理に困るぐらい仕事取ってきてから考えればいいと思う。あと、営業雇うって言うけど、こんな会社に雇われる営業ってどんな人か想像してみよう。採用対象者を魅了できるようなビジョンがない限り、経営陣に営業できるやつがいるか、コンスタントに仕事取れるような「高い技術力+人脈」を持ってないと、かなり厳しいだろう。

で、ここまでは序章。この増田氏が一番厳しいのは、次の一言。

「どんだけ案件とらなきゃダメなんだよ…」

これって、今はまだ会社のお荷物(給料泥棒)になっているか、今の会社の儲けの仕組みすら理解できていないかの、どちらかの可能性が高い。

さらに、起業して稼げるイメージすら持てないわけで、この2点が決定的。まだまだ今の仕事を続けながら修行した方がいい。最低限、今の職場でエース級にならない限り、起業はやめておいた方がハッピーに暮らして行けると思う。

というわけで、起業ポルノの世界へようこそww

*1:計算間違いしている。本当は、月給38万円×3人×4ヶ月=456万

*2:将来儲かる確実性が高いのならば、経営者個人の所得を経年で均等化して節税するために「税金が高くない範囲の金額いっぱいの給与貰う」のはありだろうけど、そのまま永久に赤字だったら、本当は何も儲かっていないのに給与払って税金取られるバカらしい状態になるので、給与絞る方が正解だと思う

*3:大きな仕事が取れて支払いサイトの問題で運転資金が苦しくなったら役員貸付金とかして会社にキャッシュを戻さないといけないけど、基本的に投資資本はそんなにいらない