技術センスが高い本物のビジネス戦略家になれるか?

KLab株式会社のCTO、仙石浩明氏の下記エントリに思ったこと。

超優秀なハッカーは互いに認め合う技術者同士ばかりで集まり、ビジネスモデルの重要性を軽視してしまいます。ビジネスモデルなんて自分たちだけでも考え出せると思ってしまい、社員のほとんどが技術者、なんて会社になってしまいます。実地に売り歩く営業の必要性にはさすがに気付いて営業担当者を数人雇ったり、あるいは社長が自ら売り歩いたりするようになるものの、儲ける仕掛けの構築には無頓着で、旧態依然としたビジネスモデルのままだったりします。そのため事業を拡大しても余裕が生まれず、ちょっとした外部環境の変化でたちまち立ち行かなくなる恐れがあります。

逆に、優れた儲ける仕掛けを生み出すことができる有能な戦略家は、一日24時間、儲ける仕掛けを考え出すことばかりに夢中で、その仕掛けを下支えする高度な技術のことは軽視してしまいます。技術なんて下請けをいじめればなんとでもなると考えてしまい、決して技術者をパートナーとは考えません。技術者を、売るものを作ってくれる便利な人と考えてくれればまだマシなほうで、下手するとコストばかりかかる必要悪くらいの勢いで、原価削減の手法をあれこれ考え始めたりします。しかし技術を軽視したツケは、いろいろな形で払うことになるでしょう。事業を下支えする技術が脆弱であれば事業の継続性が危ぶまれますし、技術面で他社との差別化が行なえずに他社の参入を許してしまうかも知れません。
http://sengoku.blog.klab.org/archives/64945422.html:Title

私は元技術者。GeekになれなかったSuit。Geekだろっていう勘違いは、本人も周囲もしたことはあるかもしれないけど、生産性だって、まあ平均的な技術者のせいぜい2倍程度(当社比?)だったんじゃないかと思うし、いまや技術者を本職としなくなってからのブランクも結構ある。実際に会って、負けたって感じた技術者はそんなに多くないけど、世の中には自分が一生追いつけないGeekがいっぱいいるのは、ネットを見ていれば良くわかる。

ではSuitとしてはどうだろう。いろいろ読書をしてみたり、こんなブログを書いて、時にはプロの経済学者にも反論してみたりして、迷惑をかけたり空気を悪くしたりしながらも、本職がマネージャということもあって日々成長していると思う。

まあ、いろいろ起業に関する情報も収集して、自分なりのビジネスモデルも考えてみて、そこそこ行けそうなものは非公開でストックしてきたら結構貯まってきた。大きく育つ可能性がありそうなのは、そのうち3割程度だと思うし、実際にやってみたら、どれを選んでも失敗するかもしれないけど。

ただ何にしても多分あと2年もすれば、劣化しつつある技術力よりも非技術力の方が勝った人材になるだろう。そのとき、どれだけ高いレベルのビジネス戦略家になれるか、また魅力あるビジネスプランを作れているかというところが、本当に起業に踏み切れるかどうかの境界線になるかもしれない。


私はGeekのなりそこないなので、ビジネス戦略家としての相応の実力がつけば、冒頭引用部で仙石氏の指摘しているような問題がおきないSuitになれると思う。ただ下手をすると技術力も経営力も人並みの、中途半端なマルチ人材になるかもしれない。逆に言えば、なんとしても本物のビジネス戦略家になることが最重要課題だ。だから、漠然としたイメージとして、本当に起業するとしたら、下記のどれかのパターンになるのだろうかなと考えている。

  1. いいビジネスプランを立ててGeekを魅了して、共同経営者として迎えて創業する。
  2. VCに認められるビジネスプランを立ててリスクマネーを集め、相応の給与待遇とストックオプションGeekを迎えるベンチャー起業。目指せIPO
  3. Geekなしでプロトタイプ的にサービスを作って走りはじめて、目立って、GeekをCTOとして引き込む。

まあ、今のところは夢物語に過ぎないが、こんな考え方が面白いと思ったGeek肌の方、Geek修行中の方、はたまた起業家・起業家予備軍の方、もしよろしければプロフィール欄のメールアドレスなどへコンタクト下さいませ。ぜひぜひ「お友達からお付き合い」を頂けると嬉しいです。関西在住の方は、お食事でも。

(このエントリーは、じつはGeekに未練がある自分に向けたメッセージという面もあったりする。)