恐るべきバーナンキ砲/FRB資産2兆ドル越え

前回エントリーで、日銀のバランスシートに言及したので、FRBのバランスシートも見てみたら、驚き。いつの間にかFRBの総資産が従来の倍以上の2兆ドルに膨らんでいる。これって、怪しいコピペ都市伝説になっている日銀砲*1なんかよりも数倍強力なバーナンキ砲が炸裂していると考えていいと思う。

そして言い換えると、分裂勘違い君が凄い長文で解説したリフレ政策量的緩和)を米国が強力に断行しているとも言えるだろう。

FRBの最新バランスシート(執筆時点ではOctober 30, 2008を参照)


私は英語は不得意な上に、経済も金融も専門ではいので、誤読をしていたら指摘頂きたいのだけど、10月29日時点のFRBの総資産は、ほぼキッカリ2兆ドル。国債以外の資産が全般的に増えているようで、最近新設されたものでは社債買取LLC*2で1448億ドルなんていうのもある。

一方で負債・資産の部を見ると、特別な財務省預金*3が5588億ドルあったり、準備預金が4199億ドル*4もあったり、なんかとてつもない状況になっているように見える。

(これって本当に準備預金? 約42兆円って...。これ国債で吸収して財務省FRB預金に戻すのかな。この特別な財務省預金については、本石町日記さんのこちらのエントリーが参考になると思う。)

ちなみに、FRBのバランスシート(10月1日時点)を日本語で載せている記事NBonlineにある。正確な記事を読みたい方は併せて参照した頂いた方が良いと思うが、この時点では総資産は約1.5兆ドルと、まだ増加途上の数値になっている。


バーナンキ砲(もしくはバーナンキ ヘリコプターの大群)は実にこの2ヶ月間に、1ヶ月あたり約5000億ドル(約50兆円)ペースでドルを放出している。普通の流動性供与や量的緩和にしては異常値のような気もするんだけど、米国は流動性トラップに落ち込みかけていて脱出しようと考えているのだろうか。それとも、今後おこる大きな金融ショックに備えて流動性供与を図っているのだろうか。

正直、自分の知識不足、理解力不足が怨めしい。広めの関連記事にトラックバックを打って、できれば、バーナンキFRBの超量的緩和に言及して頂くことを期待したいと思う。


なお、まだ継続途中の下記エントリーで気にしている「GMの3Q決算発表」は今週金曜日だったと思うけど、さすがにこれだけで怒涛のドル放出はないだろう。
http://d.hatena.ne.jp/T-norf/20081030/GMcrisys2:Title

米国経済の実態が相当悪いか、デフレ基調に入っているか、もしくはその両方だとFRBが判断していることは間違いないと思う。オバマ大統領も、まあ最悪のタイミングでの就任になりそうだけど、これからの米国経済運営は本当に気になるところだ。あと、ドル安・ドル暴落に振れるかどうかも。


そして、単に米国経済危機の方が日本の経済危機に比べて深刻だという可能性も高いけど、これだけ迅速かつ大胆に動くところは、ぜひ日銀にも見習って欲しい。諸外国が不況で金融緩和している今こそ、円キャリーとか気にせずに、大リフレ作戦でのデフレ脱却が可能なのではないかと思う。

(もちろん生産性も上げなきゃいけないけどね)

*1:日銀砲コピペは例えばアルファモザイクとかにあるけど、為替介入するのは日銀じゃないし、円売り介入の原資がドル資産の米国債なわけがないので、かなり出来の悪いコピペ。

*2:Net portfolio holdings of Commerical Paper Funding Facility LLC 、多分FujiSankei Business i Bloombergのこの記事の特別機関向け出資

*3:U.S. Treasury, supplementary financing account

*4:準備預金でいいんですよね、Reserve balances with Federal Reserve Banks