分裂勘違い君のJシリコンバレー特区、東京近郊は無理ぽ、フラットタックスもダメぽ

超人気ブログの「分裂勘違い君劇場」で「Jシリコンバレー特区」というアイディアが書かれていた。こういう前向きなバカ話や、http://d.hatena.ne.jp/T-norf/20080312/WhyStartup:Title="くだらないアイディア((c)奥田民生)"は、大好きだ。ただ、いくつか問題があるので、真剣にツッコミを入れてみたい。


http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20080319/1205929244:Title

東京から直通電車で20〜30分くらいのところに、経済特区を作る。

仮にJシリコンバレー特区と呼ぶことにする。



この特区では、英語が公用語

役所、医療施設、学校、レストラン、スーパー、電車、交通標識など、あらゆるものが英語で運用される。



この特区内の企業に年収500万円以上で採用された外国人には、この特区内だけで働けるワーキングビザが発行される。

当面は、インド、中国、西欧、北米、旧共産圏などの高度知識労働者をこの都市に集めることを目指す。



目標として、50年かけて世界中から1000万人の高度知識労働者をこの都市に集めることを狙う。

彼らに、世界的ベンチャー企業をどんどん生みだしてもらう。

まず最大の問題。東京から直通電車で20〜30分の近郊で1000万人都市を作るだけの土地が確保できるだろうか。これは、どんなに容積率を高く見積もっても完全に無理。しかも、突然1000万人都市が出現するわけじゃない。最初は数千人からスタートして発展して、だんだん人口も増えて、学校も作って、カフェ作って、カンファレンス設備も作っていく形になるはずだ。

初期段階で土地買収するとしても、発展できるかどうか分からない計画段階で、東京近郊という高価な土地を大量買収するにはリスク不相応の大きなカネが必要になるし、この「Jシリコンバレー特区」が発展してから土地買収をしようとしたら、土地が高騰してしまっていて、ますますカネが必要になる。

だから、やるんだったら絶対、田舎で安く広く土地買収をしてから都市開発事業をスタートさせるべきで、それは東京近況じゃないと思う。マッチョ世界では東京至上主義がトレンドかもしれないが、本当にやるんだったら、、、

なにより、電車で20〜30分もすれば、いまやパリと肩を並べるほどの世界に誇る美食都市東京へ出られる。

とか意味不明な理由で東京に執着する必要などまったくない。


私も昔、ITバブルが弾けたころ脳内シミュレーションで一度考えたことがあって、それはシリコンバレーというより、日本のラスベガスとしてテーマパーク都市&介護老人都市を外国人労働者特区で作るといいなぁと思ったのだが、そのときは淡路島*1をイメージしていた。

ただ、ラスベガスではなくシリコンバレーもどきとしてやるんだったら、東海道新幹線に新駅を作る前提で自治体間でコンペをすると良いと思う。その際に、周辺土地の50%以上は現在の時価(タダ同然)でこの都市開発事業へ売却することを条件とし、一番条件が良い候補地を厳正な審査で決めれば良いだろう。

そうすればJシリコンバレー市が発展すれば地価上昇で国庫は潤うし、その儲けを原資に、大学を増設したり、リニア鉄道や国際空港などを新設するような追加開発投資も可能になってくる。

そもそも、それまでアメリカのシリコンバレーで年収2000万円で働いており、その収入を前提とした生活水準で暮らしていたハイレベルのエンジニアに、「ストックオプションをあげるから、年収1500万円で働いてくれ」と言っても、とくに家族持ちの場合など、生活のグレードダウンを受け入れなければならず、家族の了承を得られないことも多い。


この問題を解決するため、まず、この経済特区では、所得税を一律10%にする。

続いて、上記から始まる税制について。これは仕組みそのものについて大きな問題がある。Jシリコンバレーが無差別に所得税を一律10%とかにしちゃうと、同じ国内マーケットで戦っている日本の既存産業は圧倒的に不利で結局国内景気は悪化して税収減に繋がるダメダメ政策だと思う。

「租税回避」のあたりで分裂勘違い君も似たようなことを書いているが、必要な税制はフラットタックスではなく「イノベーション減税」であったり「ワールドビジネス減税」ではないだろうか。

イノベーティブなワールドマーケットをターゲットにする企業に勤めていれば、個人所得税を10%に。創業期ベンチャーであれば0%とか。

(いいなぁ。)

あとベンチャー特区を作るんだったら、ついでにエンジェル減税などの、出資促進策も必要だろう。


上記以外の点は共感できて、本気でやれれば面白そうだ。ただ、仮に上手くいっても、米国企業のR&D部門が移転してきたりしそうになると、海外からの強力な政治圧力が来て、今の日本政治体制では結局継続できなくなりそうだ。

受け入れ資本/人員はアジア限定で、大亜シリコンバレーとしてやればいいのかな。いかがだろう。


P.S.
弾氏が関連エントリーを上げていたので追加トラックバック。船だと日本から去っていって帰ってこないだろう。あと、本日の産経1面では石原慎太郎都知事が「新しい移民法を」というコラムを書いている。izaにも掲載記事があったのでこちらもリンク&トラックバック。石原氏のコラムにはワケワカなところも多いけど、本論は共感できる。移民政策でもJシリコンバレー特区でも淡路島介護ラスベガス特区(?)でもいいので、そろそろ真剣に考えた方がいいと思うなぁ。

*1:淡路島はイザナギ命(みこと)とイザナミ命が最初に作った島として外国人に開放するのは恐れ多いが、実は関空からも船で近いし、将来絶対に国民のお荷物になるはずの本州四国高速の負債軽減にも役立つと思った。あと、丘陵地も多いのでL.A.のビバリーヒルズのような高級住宅街も作れそうだし、マリンスポーツも楽しめると思う。ただ、現時点で15万程度の人口があり、治安悪化で反対が出てしんどいかも