情報起業は悪が制するレモン市場
私は、起業のスタイルとして、情報起業というのが、正直に言って好きじゃない。
確かに出版しても部数が出ない一方で、ニッチでは価値があるノウハウというのは存在するし、情報商材もコンサルティングの一種だと思えば、安いかもしれない。
ただ、私の場合、イメージとして、あれを連想してしまうのだ。名前は忘れたけど、インターネットの黎明期に流行った長文スパムで、こんな感じのやつ。
- 銀行口座番号が5つ並んだリストを含む。
- まず最初にリストの5人全員に千円だか、10$だかを振込んで下さいとの指示。
- そして、リストの一番上の口座番号を消して、最後にあなたの口座番号を足して、同じ文章のスパムをばら撒いて下さい
- もの凄く儲かります、こんなに儲かりましたという情報を含む。
これは詐欺的、マルチ的、チェーンメール的なものなので、マジメに情報起業をしている人には失礼な点があり申し訳ないが、ただ典型的な情報商材と以下のような点で似ていて、象徴的だと思う。
- ノウハウを実践することでは、(あまり)儲からない。
- むしろ発案者・情報起業者が儲かる。
- 理解力や判断力がない弱者から、お金を奪っている面がある。
これに当てはまらない情報商材は存在すると思う。また、情報起業をやっている方の人格否定をするつもりは全くないし、過去にやっていたからといって蔑むようなことはない。
ただ、煽り文句いっぱいのブログや、妙に縦長でマインドコントロールっぽい煽り文章いっぱいのウェブサイトを見ると、正直、お知り合いになりたくないとも思う。
Wikipediaの情報商材や、情報起業家にはネガティブな情報満載だ。だけど、今回エントリーのような文章、ありそうであまり見かけないので、私のスタイルとして書いてみた。
ちなみに、どうして情報商材・情報起業というのが、ブラックになっていくかというと単純だ。実際に買うまでは中身が分からないという「情報の不均衡」があって、市場原理が働きにくいからだろう。
中身の良し悪しが売行きにあまり影響しないとなれば、粗悪な商品(情報商材)が溢れるというのは自然なことで、これは経済学の「レモン市場」の典型例だと思う。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%A2%E3%83%B3%E5%B8%82%E5%A0%B4:Title
経済学において、レモン市場 (lemon market) とは、財やサービスの品質が買い手にとって未知であるために、不良品ばかりが出回ってしまう市場のことである。
レモンとは、アメリカの俗語で質の悪い中古車を意味しており、中古車のように実際に購入してみなければ、真の品質を知ることができない財が取引されている市場を、レモン市場と呼ぶ(レモンには、英語で「すっぱい」「うまくいかない」等の意味があることから、転じて「欠陥品」を指すようになった)。
世の中には、マジメな人が作った情報商材よりも、かなりのボッタクリの利益を取る商売はいっぱいあると思う。ただ、それらには市場(競争)があって、商品の中身はそれなりに開示された上で顧客が選択していることが多いと思う。
なお、余談になるが、情報商材に限らず、このレモン市場という考え方は起業において重要なことを2つ示唆していると思う。
- もしあなたが正直者であるならば、レモン市場となる分野での販売で起業することは止めたほうがいい。(逆も真...。)
- レモン市場において、情報の不均衡を無くすことや、品質の悪い商品を無くすことで、レモン市場ではない状態にすることができれば、新しいビジネスになる可能性を秘めている。
「2.」についての例としては、語源どおりの中古車関連で、オークネット(東1:9669)が運営するオークネット.jpの中での「評価点や★」や「オークネット保証」が正にこれに該当する例になると思う。
さらに余談の余談だが、こうして考えるとオークネット社の株式、これを書いている時点の終値1,176円(PER12.55)は、結構魅力的*1に思えてくるが、どうだろう。
2008.12.21改題
レモン市場関連のブログエントリー/トラックバック先
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/accdf9e44f13a20620e513865403fc91:Title
http://d.hatena.ne.jp/cuzic/20060124:Title
http://www.financialblog.jp/1002/2008/03/post_867.html:Title
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