ガソリン代高騰対策に「のってこ!」/新ビジネス案No.05 居酒屋タクシー.com

めざましテレビや、R25の記事でも紹介されたのでご存知の方も多いかもしれないが、ライドシェアという分野で「のってこ!」というウェブサービスがある。この「のってこ!」は梅元建次朗氏という若い起業家が設立した株式会社ターンタートルが運営していて、まだまだサービス利用者が増えていない状況にあるようだ。応援する意味でも紹介し、大変失礼だとは思うけど、うまく発展できる方法がないか考えつつ、新ビジネスのアイディアを考えてみたいと思う。

(起業アイディアを出す練習という意味で題材にしつつ、万一何かの役に立てば幸いという考えですが、不快でしたらすぐに削除しますので、ご連絡下さい。>梅元様)

ライドシェア/のってこ!とは

まず、ライドシェアは欧米ではある程度一般化している概念のようで、CO2削減や渋滞解消のために空き席がある乗用車に便乗(あいのり)するという概念だ。私も米国で実際に見て驚いたのだが、向こうのフリーウェイには「3名以上乗車専用レーン」というのが存在していることがあり、渋滞時でもこのレーンだけは快適に走れるような形になっていて、1台の車に多くの人間を乗せて走ることにインセンティブを設けているケースがある。*1

そして、今回紹介する日本の「のってこ!」は、どちらかと言えば長距離ドライブでガソリン代・高速代の負担を分担して軽減するために、「あいのりしたい人−同乗者を募っている人」をマッチングするサービスになっている。ここで、基本的には同乗者がドライバーに対して、ガソリン代・高速代の一部を支払う形になるのだが、下記に記載があるように経費分担の範囲であれば白タク行為にはならない。

ドライブに実際にかかった費用(高速道路料金・燃料費・駐車場代)を、クルマに乗せた人に負担してもらうことは、有償輸送(白タク行為)には当たりません。
http://notteco.jp/faq:Title

また、こういった他人の車への同乗は犯罪に巻き込まれる怖さがあるが、この「のってこ!」では免許証等の身分証明をデジカメで撮って送ることで本人確認を取る仕組みを導入していて、その危険も極力回避している。他にも、フェス・ライブ、スキー・スノボ、サーフィン、遊園地・テーマパーク、スポーツ観戦など目的別のインデックスも用意されていて、より活発に登録が進み探せるような仕組みを構築している。

最近は、安い移動手段としては高速バスも発達してきているので競合する面もあると思うけど、ガソリン価格も高騰していることもあり、上手く使えればドライバー・同乗者の双方がハッピーになれるし、環境配慮という意味でも有効で、ぜひ発展して欲しいサービスだと思う。

マッチング系ウェブサイトの立ち上げについての経験知

まず、この「のってこ!」のビジネスモデルは、当初はライドシェアの成立の際に、乗せて貰う側の人から525円相当のポイントを徴収することで収益を上げようとしていた。ところが、今年の4月前に下記アナウンスがあり、課金を廃止して、完全無料サイトとして運営する形式に変更となっている。

http://turnturtle.jp/service/info/20080325:Title
1. より簡単にドライブを探せるようにする。
  トップページを変更し、地図と目的ボタンを設置します。これにより、行き先の地域やドライブ
  の目的で簡単にドライブが検索できるようになります。

2. 利用料を廃止し、完全無料化する。
  ライドシェアの成立(ユーザー同士で相乗りの約束をすること)の際に同乗者がのってこ!
  に支払う手数料525pt(525円)を廃止します。

ここで参考になることは2つあると思う。

  1. インターネット(携帯ではなくてPCサイト)での課金サイトはやはり厳しいということ
  2. マッチング系ウェブサービスにおいては、理論的には利用者数の2乗に比例に近い比率でマッチングが成立するので、とにかくユーザ数を集めることが重要で、課金は利用者数が増えてから実施する方が好ましい。

あと、「のってこ!」でいえば、金銭的に細かい金額を節約しようとする学生さんの中にはクレジットカードを持っていない人もいて、課金がネガティブに働いた面もあったと思う。

こういったウェブサービスでの収益化モデルの典型例は「プレミアサービスのみ課金」ではないかと思う。このブログを書いている「はてなダイアリー」もそうだし、ニコニコ動画もそうだ。まあ微妙な例えとしては「女性は無償の出会い系サイト」もそうかもしれない。とにかく、マッチング系ウェブサービスで最初から課金は厳しく、逆に、プレミアサービスのみ課金するという選択肢は、常に意識しておいた方が収益化しやすい面があると思う。

軌道修正は大胆に

「のってこ!」については私もまだ会員登録してみただけで利用したことがなく、細かい経緯は知らないのだが「手数料525pt(525円)」→「無償」へと変更した一方で、あまりサービス内容は変わってないように思える。もちろん小さな会社ということで、今は資金稼ぎのために他の仕事を受託していて、一時的に「のってこ!」の機能追加・修正は放置しているだけの可能性もある。

ただ個人的には、無償サイトに切り替えたんのであれば、もっと大胆に方針変更をした方が良い点があると思う。例えば、憧れの車に同乗したい。助手席でいいのでAE86とかRX7 FC*2に乗ってワインディングドライブしてみたいと思うような車ずき向けのPRでの雑誌タイアップとか、インタフェースの追加変更が必要になるが、通勤時の同乗などをマッチングする方向へと変更していけば、企業協賛とかも取れて、新しい方向でのマネタイズができるかもしれない。

そうやって、いろいろなアイディアを妄想しているうちに、違う方向性のアイディアにたどり着いた。

年商3億円いけるかも!

このエントリーを書こうと思ったキッカケはここなんだけど、ライドシェアは米国とかだと通勤手段としてポピュラーという話しを聞いたことがある一方で、ある事情で身内がタクシー通勤できたら楽だろうなぁと思ったことがあって、でもお金がモッタイナイし、でもライドシェアできたら安くタクシーが使えて、すごく便利じゃないかと思った。

しかも、サイトからタクシー予約までできるようにして、各タクシー会社から表示順位オークション形式/申し込み件数チャージで掲載料を取れば、収益ビジネスモデルとしても、完全に成立すのではないかと思った。

あらら、これって法律違反だ...

というところまで考えて意気揚々、周辺情報を調べてみたら、タクシーって道路運送法の一般乗用旅客自動車運送事業者に該当するようなんだけど、下記の条項があった。ライドシェアはあいのりだけど、タクシーでやったら乗合だわね。これって「トホホな10の事業案」の1番「違法・公序良俗に反する事業案」に該当じゃねーか。恥ずかしー。

(乗合旅客の運送)第21条 一般貸切旅客自動車運送事業者及び一般乗用旅客自動車運送事業者は、次に掲げる場合に限り、乗合旅客の運送をすることができる。
1.災害の場合その他緊急を要するとき。
2.一般乗合旅客自動車運送事業者によることが困難な場合において、一時的な需要のために国土交通大臣の許可を受けて地域及び期間を限定して行うとき。
http://www.houko.com/00/01/S26/183.HTM:Title

でも待てよ、抜け道はあるかも

でも確か、超一流企業の「京○ラ」の本社って最寄り駅から結構距離があって、いつも朝の最寄駅付近と夕方の「京セ○」本社付近にタクシーが大量に停まってて、出勤・退勤時には「○セラ」社員が綺麗に列作って、定員一杯づつ面識がなくても乗り合わせていくという光景を見たことがあるような気がする。これってセーフなんだろうか。「京○ラフィロソフィー」っていうものがあるぐらい精神性が高い会社の社員がやってることだから、きっと犯罪じゃなくて合法に違いない。

あと、こんな報道もあった。

 財務省は、現金や商品券を受け取った職員には7月末をめどに全額をタクシー運転手らに返還させるほか、再発防止策として〈1〉深夜タクシーの相乗りを励行〈2〉公務員宿舎を巡回する帰宅用の深夜バスの運行本数を増設〈3〉深夜勤務を減らす仕事の合理化や効率化――を進めるとしている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080625-OYT1T00731.htm:Title

お国が率先してやるんだから、犯罪じゃないよね。少なくとも同僚同士であれば、乗合旅客じゃないようだ。

新ビジネス案No.05 居酒屋タクシー.com

そこで、堂々とあいのりタクシー乗車できるサービスを作ることを考えてみる。名づけて「居酒屋タクシー.com」。インパクトがあって覚えやすいネーミングはとっても大切だ。

このサービスの基本形はコミュニティーサイトだ。目的は、住所・職場・学校・買い物先などのロケーションが近い人同士のコミュニケーションサイトとし掲示板やSNS機能を持ち、そこで知り合った仲間が「オフ会的にリアルで合流して、移動時間を居酒屋のように楽しく過ごす」というのがメインコンセプトだ。タクシーを乗合で使って費用を削減しようとかは、決して考えていない。それを主目的にするのは、利用規約での禁則事項ってことにしておこう。

でも「移動時間を居酒屋のように楽しく過ごす」ということで、何時何分の電車の何両目の何番ドアとか、他にもライドシェアしたり、タクシーをあいのりするためのマッチング機能を持たせるのだ。でも、サービス名は「居酒屋タクシー.com」。うーん、流行ってきたら改名するってことにしておこう。

まとめ?

梅元様、ターンタートルの皆様、ネタエントリーの一部としての紹介になってしまって大変申し訳ない。*3ライドシェア用のサービスとしてのってこ!は完成度も高く、このまま利用者が増えていけば本当に良いサービスだと思うので、このエントリーを最後まで読んで頂いた皆様も、ぜひチャンスがあれば利用してみて欲しい。

あと、同僚同士の「タクシーあいのり」が合法であれば、タクシー会社からの広告料というところで大きく収益化できる可能性があり、この路線は面白いのではないかと思う。これは通勤ライドシェアとほぼ同じインタフェース実装できると思うので、もしのってこ!がこの方向へ拡張する予定があるようだったら、検討に値するのではないかと思う。すでに構想として考えられたことがある可能性も高いような気もするが、外野から見た意見の1つとして、もしも参考になれば大変嬉しく思う。

でも、ネタにしたような「ロケーション属性でクラスタ化するようなコミュニケーションサイト」って、それはそれでマッチング効率は最低なので、これって「トホホな10の事業案」の9番「誰もが思いつく割に、実現の話を聞かない事業案」に該当する話しかもしれない。うーん、恥ずかしー。


*1:そんなレーンを設けているから渋滞が悪化する可能性もありそうで、本当に経済的に効果があるかどうかは微妙だと思うけど、実際に体験したところでは5車線中1車線とかが3名以上乗車専用レーンになっていて、他のレーンが渋滞している中で、そのレーンだけ空いていて空港までのタクシーが快適に走れた。

*2:車種が古いのはご勘弁を。私が車に興味を持っていたのが、かれこれ15年以上前なんだな。

*3:このブログはそうしないと、アクセス数が取れないので...。