正規雇用を増やすイノベーション、正規雇用を減らすイノベーション

海外ニュースでは聞くが、国内ではあまり聞かない言説として「機械化が雇用を減らす」というのがあると思う。実際、起業に軸足を置きつつ、経済についていろいろ考えていると、他にもいろいろと思い浮かぶ。


まず「機械化」は1つの技術的イノベーションであって生産性が上がる。ただ商品の市場需要にも限界があり、高めた生産性は雇用の減少となって現れる。*1商品は潤沢に供給され価格は下がり、消費者サイドとしてはハッピーだけど、労働者としてはアンハッピーだ。

雇用を減らさないためには、どんどん高機能で高付加価値の商品へと切替えていくことしかない。ここに陰りが見えると雇用は減る。例えば100円均一回転寿司。寿司の市場需要に限界があるとすると、低付加価値品を高い生産性で提供している形になるわけで、他の飲食業とのシェアを奪っていたり新規需要を開拓しているかもしれないけど、かなりの勢いで寿司職人の職を奪っている可能性が高い。

そして、寿司職人の代わりに雇われるのバイト・パートさん達だ。


他にも、やはり飲食店を例に考えると、情報化投資を進めると、注文をハンディー端末に入力すると、キッチンプリンターでオーダーが出力されて、あとは順次お会計、帳簿付けまでシステムがやってくれる。teruyastarさんとこのサイゼリヤがすげーwによると、サイゼリヤでは仕入発注まで自動化しているようだ。コンビニとかだと立地によっては発注は結構気を使いそうだけど、そこらへんも割り切れば、もう店長なんて何店掛け持ちしているか分からない状況だろう。

情報化とマニュアル化経営とかで店舗全員バイト・パートでOKという業種は増えているように思う。


そしてこれは別にリアル店舗に限らない。例えばある商品を販売する企業があったとして、従来は地道に営業マンが訪問販売していたのを、システマティックにDMを発送して、コールセンターからの売込み電話をするスタイルに切替えたとする。同じ販売量で営業の正社員が減って、コールセンターで勤務するバイト・パートさん達が増える。

ウェブ販売とかテレビショッピングとかも、まあ似たような構図があると思う。


もちろん陰で機械やシステムを作っている人がいるのは分かるんだけど、あまりにもバイトさんやパートさんに頼った、付加価値を増やさずに生産性だけ上げるイノベーションが多すぎるのではないだろうか。より高付加価値であったり、全く新しい商品やサービスを生み出すようなイノベーションが、今の日本、特に第三次産業では不足しているように思う。

需要サイド(購買力)の問題もあるだろうけど、日本は格差が広がっているというのであれば、金持ちも増えているはずだ。下記エントリーを見ると、バイトさんやパートさんの需給も逼迫しているようだ。異質のイノベーションを起こして、チキンレースを抜け出すべきではないだろうか。


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*1:一方で「製造装置」の生産に携わる企業では雇用は増えるが、輸出を考えなければ一時的なものであって、最終的には減ると思う